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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

長平は、又、つけたして、

「幸いにして、今回は、一挙に平凡をくつがえす大地震があったじゃありませんか。もとの平凡へ戻るための調節作用だったと解釈するのが賢明でしょうよ。今度は耐震耐火建築にしろという暗示でもあります。夫婦生活の自壊調節作用はどこの家庭にもあることで、この程度の大地震も、そう珍しいものじゃありません。幸福な一対に限って、時に大紛争を起しがちなものです。ここに哀れをとどめたのはぼくで、御二方が元の平穏へ戻るための地ならし道具に使われたようなものですが、あなた方が元々通りの幸福におちついて下されば、ぼくも道具のお役にたって満足、けっしてインネンはつけません」

長平がバカのように高笑いをしたので、礼子もその場に見切りをつけた。

思いきりよく立ち上って、

「おいそがしくてらッしゃるのに、時間をさいていただいて、ありがとうございました。私、青木と会う約束がございますので、失礼させていただきますが、今夕、青木とお会いなさるんでしょうか」

「ええ。その約束はしております」

「でしたら、そのあとでゝも、も一度、お目にかからせていたゞきたいと思いますけど」