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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
「こんばんは。兄さん、泊めてね。私だけ、アブレちゃッたのよ」
「私もさ」
そう云って、その後から姿を現したのは、ルミ子であった。
「嘘つきね。いま、お客を送りだしたとこなのよ。ほら、なアさんという人」
「アッ。あの人、まだきてるの?」
それまで無言で寝たままのヤエ子がモックリ首をもたげて、
「すごいわねえ。ルミちゃん。あんた、また、殺しちゃうのね。ああ、四人目だ」
「人ぎきの悪いこと言うわね。熱病やみの幻覚だ」
ルミ子は面白くもなさそうに薄笑いした。
「だって、あの人、死んだ人の片割れじゃないの。あんなことのあとで、また来るなんて、死神がついてるわよ。ヤミ屋も食えなくなったし、強盗でもやってんだろ」
「幻想がよくつづくわねえ」
「ピストルぶッ放すんなら、私の居ない日にしておくれ」
ヤエ子は叫んで、にわかにフトンをひッかぶったが、ルミ子は薄笑いをうかべながらフトンをまくってのぞきこみ、
「アドルム、おのみ」
「うるさいッ」
フトンをひッたくって、もぐりこんでしまった。
青木はここへくる道々、放二から彼のアパートのあらましのことをきいてきたので、彼女らの素姓については察しがついたが、放二とのツナガリについては、雲をつかむようである。