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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

したたか酔ってもいた。

「君の奥さんは、どの人なんだい」

青木の声が高かったので、ヤエ子が再びモックリとフトンから首を起して、

「あの人よ」

ルミ子を指して、イライラと叫んだ。

「怒るわよ」

ルミ子はちょッと鋭い目でにらんだ。

放二は頃合と察して、

「ルミちゃん。今夜、この方を泊めてあげられる?」

「ええ。どうぞ」

ルミ子は苦笑して、

「昨日も、今日も、か。なんだか、変ね。フジちゃんに悪くないの」

「アタイは浮浪者だもん」

フジ子はアッサリ辞退した。

放二が二千円さしだすと、ルミ子はためらって、

「あら。兄さんからなの」

「この方のお金、お預りしてるんです」

「そう」

「君の奥さんじゃないんだね」

と、青木は念を押して、

「不倫も怖るるところにあらずだがね。ルミちゃんか。よろしく、たのむ。可愛がっておくれ。オレにも死神がついてるのかも知れねえや。しかし、君は美人だなア、ほんとに、奥さんじゃないんだね」

「アイ・アム・パンパン」

「メルベエイヤン!」

青木はフラフラ立上って、オイデ、オイデをしているルミ子を追いながら、

「北川さんや。梶せつ子女史にナイショ、ナイショだよ。そうでもないか。