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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
誰も見てやる人のない孤児のせいだ、と記代子は考える。これは温い見方であった。
しかし、腹が立つと、冷めたくアベコベに考える。孤児で独身の放二は誰の生活を見てやる必要もないのである。青年たちはお酒で貧乏しているが、放二はお酒も好きではない。それだのに、靴や靴下を買うお金まで何に使っているのだろう?
そこで記代子は結論する。女がいるのだ、と。悪い女と秘密の家庭を持っているのだ。何年間もドタ靴や破れ靴下をはかせておくような悪い女と。
長平は記代子の見方にも道理があると考えた。彼が与える手当だけでも世間並の生活はできるはずだ。タシナミのよい放二が、なぜドタ靴や破れ靴下を新調することができないのだろう。
「娘の感覚は特殊なものがあるよ。ねえ、北川君。何かしら嗅ぎつけたことがなければ、君に細君があるなんて疑ぐりやしないぜ。奴め、何を嗅ぎつけたのだろう?」
「はア」
放二はみんな長平に語ろうと思った。記代子にもれるかも知れないが、知られて困るようなことでもないのだ。
四
「べつに秘密にしていたワケじゃないのです。男の友達はみんな知ってることなんですが、女の方には、知られていけなくはありませんが、柄のよいことではありませんから」