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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
あなたには覚悟の切なさもお分りでないのよ」
礼子はハンドバッグをかかえて立ちあがった。
青木はその激しさに見とれていたが、
「それはいけないよ。覚悟ほど人生をあやまらしめるものはないからな」
「あやまるのが人生なのです」
礼子は言いすてて、立ち去った。
しばらくして、青木は後を追うために、フッと立ちかけたが、ためらって、坐りこんだ。しばしボンヤリしていたが、
「その覚悟なら、オレの無二の友だちなのさ。お前さんも、とうとう、そうなのかな」
彼は顔をおうて、泣いていた。
六
せつ子は放二と記代子に新しくおこすはずの出版事業の抱負をきかせた。
宇賀神の噂は明日にも二人の耳にとどくだろうが、わざとそれを隠して、
「金主のことではいろいろのデマがとぶでしょうけど、デマを利用する方が賢明なのよ。あなた方も、当分はデマを信用してちょうだい。ただね、私には数千万円うごかす力があるのよ。これだけは、真実。ひょッとすると、一億ぐらいまで、ジャン/\資金がおろせるのよ。すばらしい記念日でしょう」
これだけはカケネなしの本音であった。全身から歓喜があふれでるほど、快感がたかまっているのだ。