轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

せいこのしじん

西湖の屍人

海野 十三

「新青年」博文館、1932(昭和7)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,487 字 · 39 页

青空文庫

「なんだか、薬壜のようだネ」万事を了解したらしい様子の帆村が、低声で云った。

「レッテルが貼ってある。ボラギノール」と私は辛うじて、薬の名を読んだ。

「ボラギノールって、痔の薬じゃないか」

帆村は、謎々の新題にぶつかったような顔付をして、一寸首を曲げた。

そこへマリ子がバタバタ階段をあがってくる気配がしたので、私は帆村に、あとを聞いてみる余裕もなく、その薬壜をまた元のポケットに収いこんだ。

2

小石川の音羽に近く、鼠坂という有名な坂があった。その坂は、音羽の方から、小日向台町の方へ向って、登り坂となっているのであるが、道幅が二メートルほどの至って狭い坂だった。登り口のところではそうでもないが、三丁ほど登ったところで、誰もがこの坂にかかったことを後悔するであろう。それというのが、この名うての坂は、そのあたりから急に傾斜がひどくなって、足が自然に動かなくなる。そのうえに、路がだんだん泥濘ってきて、一歩力を入れてのぼると、二歩ズルズルと滑りおちるという風だった。それを傍の棒杭に掴ってやっと身体を支え、ハアハア息を切るのだった。気がついてあたりを見廻わすと、こわそも如何に、高野山に紛れこんだのではないかと駭くほど、杉や欅の老樹が太い幹を重ねあって亭々と聳え、首をあげて天のある方角を仰いでも僅か一メートル四方