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かいせつ(『ふうちそう』)

解説(『風知草』)

宮本 百合子

「風知草」文芸春秋選書、文芸春秋新社、1949(昭和24)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,966 字 · 24 页

青空文庫

をあのような作品として書かせずにおかなかった。その法律で多くの人の生涯をめちゃめちゃにして来た治安維持法一つが消滅したら、二十六歳の年から十二年間未決におかれ、最後にはいくつものこしらえあげた罪名を蒙らして無期懲役を宣告されていた一人の革命家の心と体から、すべての鎖と枷とがいちじに落ちてゆく光景はそのひとの無垢を信じてその歳月をともに暮した妻である、作者にとって平静に眺めるには堪えがたい壮観であった。

共産党が合法政党として立ちあらわれ、代々木駅ちかくのうすよごれたコンクリート建物のがらんとしてまだ人気も少い入口の柱に、アカハタ編輯局という貼紙が出された。やがて、おかしな字で日本共産党と大書した板の看板がその入口の上にかかげられた。それは作者をうれしさで笑顔にし、同時に、日本の人民がはじめて公然と革命的政党を持つようになったという歴史の新しい一事実でもあった。

一九四五年八月十五日以後、日本には、それぞれの人の心にそれぞれの形で歴史的な内容をもつ歓喜と悲哀の感動が流れわたった。そして、そのさまざまな度合いと色あいの激しい悲喜の思いこそ、その人々が気づくと気づかないとにかかわらず、「風知草」