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かいしゃくがくとしゅうじがく

解釈学と修辞学

三木 清

「哲学及び宗教と其歴史(波多野精一先生献呈論文集)」岩波書店、1938(昭和13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,866 字 · 24 页

青空文庫

された思考である。前者が真理性(Wahrheit)に関わるに反して、後者は真実性(Wahrhaftigkeit)に関わる。すなわち修辞学においては単に論理性のみでなくまた倫理性が問題である。表現においては真理性でなくて純粋性(Echtheit)が問題であるといわれるのも、表現が主体的真実性に関わることによるのである。パスカルは書いている、「自然的なスタイルを見るとき、ひとはまったく驚喜する、なぜなら彼はひとりの著者を見ると思っていたのに、ひとりの人間に出会うからである」。一冊の書物を読んで、ひとりの著者でなくひとりの人間を見出すとき、我々の悦びは大きい。修辞学は抽象的な論理でなくて人間的な論理であり、それは心理と論理との統一であるように論理と倫理との統一である。そしてかくのごとくそれが主観的なものと客観的なものとの統一であるところに、修辞学が技術であるべき理由がある。けだし技術においては主観的なものが客観化され、客観的なものが主観化され、主観的なものと客観的なものとの統一ということが技術の本質である。

修辞学はもとより単に心理の技術ではない。それはすでに言葉という或る物質的なものを支配しなければならぬ。