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とうろんにそくしてのかんそう

討論に即しての感想

宮本 百合子

新日本文学会第四回大会最終日に

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,896 字 · 29 页

青空文庫

石の上にも三年という諺がある。吉田茂はこの諺を満足をもって味わっているだろうと思います。一九四五年の暮頃、彼を先頭とする特権者の一群は一種の茫然自失状態にありました。彼らの自信はくずれていた。ところが一九四六年の下半期になると、吉田は記者会見で日本に対する占領政策が自分もだんだん納得できるものになってきたと語った。そして今はどうでしょう。石の上にも三年待った甲斐があらわれていないでしょうか。この三年間に、どぶ水が溢れるような汚さと早さで日本の生れ変ろうとする社会を毒したあらゆる非民主的な政策と昭和電工事件その他の醜状の積み重りの上に乗って、彼は今日首相となりました。

今日午後の討論ではくりかえし新日本文学会の活動方針が人民生活と結びついたものでなければならないといわれました。人民の中へ、という表現もつかわれました。けれども私たちが生き、そしてそこから生もうとしている文学の本質を考えたとき、ロシアの十九世紀のインテリゲンチャのように人民の中へということも何だか変ではないでしょうか。私たちがとりもなおさず人民の一部分じゃあないのでしょうか。戦争中のことを考えてみればよく分ると思います。