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はなしのたね

話の種

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页

青空文庫

科学の通俗講義集

近頃コロンビヤ大学で最近の科学の進歩を通俗的に講義した小冊子二十二篇を出版した。なるべく専門的な術語などを使わずにごくわかりやすく説いたものである。代価は一冊五十銭くらいで同大学の刊行になっている。この種の通俗講義の必要は何処でも感ぜられていたが、今率先してこれに着手したのは同大学の美挙といわねばならぬ。

(明治四十一年三月三十一日『東京朝日新聞』)

七十二

瓦斯の液化

水蒸気を冷せば水になる事は日常目撃するところだが、すべての瓦斯体も適当の寒冷と圧力を加えれば皆液体になってしまうはずである。炭酸瓦斯などは通常の温度でも圧縮すれば液化するが、空気のごときは摂氏零度以下百四十度という極寒に会わぬといくら圧縮しても液体にならぬ。近来瓦斯を液体にする事が大変に進歩して大抵の瓦斯は皆液化されるようになったが、独り空気中に混ぜるヘリウムのみはどうしても液体にならなかった。しかるに今年三月初めに至って和蘭ライデンの大学教授オンネス氏はついにこれをも液化し得たと伝えられる。

(明治四十一年四月五日『東京朝日新聞』