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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
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七十三
露国政府と前世界の巨獣
近頃シベリアの東北部ヤクーツク地方で、前世界の巨象マンモスの遺骸が発見せられたので、露国政府ではその研究のために学者を同地方に派遣することとなり、同国学士院の動物学博士等数名が出張を命ぜられたそうである。約一年余の時日を費やす予定で、その費用として一万六千ルーブル(約一万三千円)を国庫より支出することとなったそうである。露国政府が純粋な科学の方面にも冷淡でない一つの例として御紹介するのである。
(明治四十一年四月八日『東京朝日新聞』)
七十四
温泉中のヘリウム瓦斯
前条にヘリウムの事を述べたついでにもう一つこの瓦斯に関する話をする。近頃鉱泉中にこの瓦斯が含まれている事が知られた。仏国で調べた結果によると〇・一ないし五・三プロセントくらいの割合で含まれている。これを採取するには液化した空気で冷却し木炭に吸収させるそうである。この瓦斯はもと太陽中に存する事は日光の分析から知られていてそのためにヘリウム(太陽素)と名づけられたが、しかし地球上の空気中にも存するという事はわずかに数年前発見せられたのである。