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「ふんしょじだい」のしゅつげん

論理とその実践――組織論から図書館像へ――

中井 正一

中井正一『論理とその実践――組織論から図書館像へ――』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「焚書時代」の出現、生まれ変った赤坂離宮、国立国会図書館について、知識と政治との遊離、地方文化運動報告、図書館法楽屋話、図書館法の成立、野に山にかかる虹の橋、民族の血管、「良書普及運動」に寄せて、機構への挑戦、巨像を彫るもの、国立国会図書館、集団文化と読書、実践について、組織としての図書館へ、地方の青年についての報告、聴衆0の講演会、図書館法ついに通過せり、図書館法と出版界、歴史の流れの中の図書館。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,021 字 · 120 页

青空文庫

実は書庫のボロ本を整理して、一つの部屋を作って、私達がそこを館長室と名を付けたばかりなところである。未だ明治時代のアセチレンのガス燈の管が十字架を逆さにした型で下っているこの部屋の壁に、彼はこの絵をかけたのである。私はこの稚拙な、しかし清純な絵を見ているうちに、何か胸たぎる想いが湧いて来た。

「ここに一人の青年が結集している。ここにすでに最小単位の文化運動が始まっている。」

私は「ようし」と腹の底で呻ったのである。治安維持法は、十月四日に断ちきられた。私は、三日後、十月七日、そのスタートを切った。

日曜日の朝九時(学生を対象とする)、水曜日の午後二時(一般婦人を対象とする)の二つの講演会、金曜日の午後一時よりの座談会を計画して実行に移した。人事と本の年間予算が二千八百円、私の年棒がタッタ百円の館では講師の経費は勿論出っこないから、終始独演ということになる。しかし、悲しい哉、聴衆はいつでも五人、十人である。三人位の聴衆に大きな声でやるのは淋しいというより実際悲しかった。例の広高生の槇田と、私の講義は出来る限り聴衆となろうとする七十七歳の私の母のほかは、外来聴衆はただ一人という時は、母の方が可哀そうに私を見ているらしいのには閉口した。