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ちょうほうちゅうけいきょく
諜報中継局
海野 十三
「新青年」1944(昭和19)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,537 字 · 40 页
「しかし博士がその試験に立合わないのは危険きわまると思う」「いや、大したことはあるまいよ。せいぜい山毛欅の皮が剥げれば、まず成功としなければならんのだと思う」などの声ありて、過大視する組と過小視する組と二派に分れる。
座長(木槌を叩きて)「諸君、静粛に願いまする。本件の結論をテイラー博士より聴取したいと思います。テイラー博士」
テイラー博士「はい、それではわがテイクロトロンの……」
話の途中にて、大きな振動あり、続いて天地も崩れるような音がし、会員の悲鳴らしきもの聞ゆ。それにつづいてごうごうと水音が聞えはじむ。
「洪水だ。ダムが壊れたらしい」
「上へあがらねば、溺死をするぞ」
「ばか。上へあがれば、あの爆風で吹きとばされる。今ちょっと上へあがってみたが、全市は暗闇で、大建築物がクリスマス・ケーキのように、ばらばら崩壊して行くのを見た。この世の地獄だ」
「いや、洪水の方がひどい。ノアの洪水だよ、バイブルは真実を語っている」
「なにが原因か」
「大地震か、それとも噴火か」
「いや違う。テイラー博士のテイクロトロンの実験が原因だ」
「どうして、それが……」
「原子崩壊で、あまりに大きいエネルギーが出たんだ。