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こうだんせんせい

講談先生

坂口 安吾

「現代文学 第六巻第三号」1943(昭和18)年2月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,706 字 · 4 页

青空文庫

小説の技法に大切なのは、事実性、説得力というもので、之には色々の技術がある。或いは作者の感傷に托して事実性を維持しようとしたり、こくめいな描写によって実感を盛り上げようとしたり、様々だ。各※(二の字点、1-2-22)、作者その人の身についた技法があるから、良し悪しは一概に言われぬことで、自分の方法を身につけることが第一であろう。

僕が講談の方法を面白いと思ったのは、之又僕流の考え方で、僕はそれで良いのだと思っている。

講談の語り方、私が見てきたことだから信用しなさい、という語り方によると、第一、目が物が本質から離れず、小さなことに意を用いる必要がないという、大変手数の省略があり、この省略は、手数を省くばかりでなく、テーマをはっきりさせる。

我々に必要なのは語り方ではなくて、何事を語ったか、ということであるが、語り方がなければ、語られる物はなく、語り方が変れば、語られる物も変る。語っているようにしか考えられず、又、事物は在り得ない。小説の実在性というものには、それだけの絶対性があるのである。

小説の技法などというものは、言い現わし難いもので、自ら会得する以外に仕方がない。