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まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

「中央公論」1916(大正5)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页

青空文庫

私は、もう二足踏み出しております。その踏み方は、やがて三度目を出そうとしている今の私にとっては、決して心の踊るように嬉しいものではございませず、またもとより満足なものでは勿論ございません。

けれども、どうでも歩き廻らずにはいられない何かが、自分のうちに生きているのでございます。

たといよし、いかほど笑われようが、くさされようが、私は私の道を、ただ一生懸命に、命の限り進んで行くほかないのでございます。

自分の卑小なことと自分の弱いことに、いつもいつも苦しんでばかりいる私は、一体何度倒れなければならないのか?

それは解らないことでございます。

けれども、私はどうぞして倒れ得る者になりとうございます。地響を立てて倒れ得る者になりとうございます。そして、たといどんなに傷はついても、また何か掴んで起き上り、あの広い、あの窮(きわま)りない大空を仰いで、心から微笑出来ましたとき! その時こそどうぞ先生も、御一緒に心からうなずいて下さいませ。

一九一七年三月十七日  著 者

一

村の南北に通じる往還(おうかん)に沿って、一軒の農家がある。