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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页

青空文庫

」「ああ、解ったと申すか。」「へい。ところでその、黒瀬という婆々はもう死歿ました。」「えほんとうに?」「まったくでございます。」「そんなら用は無い、もう帰邸としようの。」「ま、お待ち遊ばせ。」と三吉は得々として、「大変なものを見附けました。もし、御前様、光子様を。」

いう事いまだ終らず、老婦人は顔色動き、「何といやる。」車夫ますます得々として、「えい、奥様を見付けたのでございます。方々探して知れなかったも道理、こんな処に隠れていらっしゃるんだもの、今日の御足は徒にはなりませなんだ。いかが計いましょう。」

老婦人はしばし沈吟して、「可し、すぐに引摺って来い、連れて帰る。」「いえ、森に居る鳥は、籠の中に居るように手軽くは押えられませぬ。少し手間が取れますがお待ち遊ばしますか。」

老婦人は空を仰ぎ、「日和癖じゃ、また曇った。」

「降りませんうちに、じゃあこうなさいまし、そこらで車夫を呼んで参りますから、御前様は一足お先へ、私はお後から奥様を引張って帰ります。」

「よきように計え。」

とあれば、三吉走行きて屈竟の壮佼を雇来り、

「若衆、駿河台だよ、可いか、頼んだぞ、さあお召し。