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かしまをさがしたとき
貸間を探がしたとき
小川 未明
「中央公論」1923(大正12)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,776 字 · 6 页
まだ、きっと開いているだろう。長くいるものがないのだ。ぼくの友達も、あすこへ行ったのだ。移って行った晩だね、夜中頃に、ふと眼をさますと、女が室の中を歩いているのだそうだ。青い顔をして、俯向いて、隅の方を足音を立てずに歩いているのだそうだ。友達は、自分は、夢を見ているのではないか? と、気をしっかり持った。しかし夢ではなかった。自分は、幻想を見ているのではないか? と考えた。しかし、眼にはっきりとその女が見えた。友達は、恐しくなって蒲団を頭から被った。そして、夜の明けるのを待った。
夜が明けると、もう、一日もこの家に居ることができなかった。それでね、早速荷物を片附けて、前の下宿へ帰ろうと思って、そう断ろうと梯子段を降りると、爺さんも婆さんもいなくて、十二三の女の子がいた。仕方なく、その女の子に話すと、
『やはり、何か見えましたか?』と、女の子が言ったそうだ。
『じゃ、僕ばかりではないのだね、この家へは幽霊が出るのかね』と、友達は、聞いた。
女の子は、笑いもせず、じっと友達の顔を見て黙っていたそうだ。
友達は、すぐに、その家から越してしまった」
私は、この話を聞くと、あの二階家が目に浮んだ。