轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

07 おくめ殺し

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,548 字 · 47 页

青空文庫

だが約束のことはみんな知っていた。いまの差配は助三郎といって、その界隈にある高田屋の地所や家作の管理をしているが、死んだ父親の元助からちゃんと聞いていた。親から聞いただけでなく、与七の手で書いた店賃の帳面も残っている。元来、長屋というところは住人の出替りが多く、五六年もすればたいてい顔ぶれの変るものだが、店賃なしという珍らしい条件と、護国寺関係の仕事をする者が多かったからだろう、空家になっている三軒のほかに、人の変ったのは七軒しかなかった。――当時からすでに二十年ちかくも経つので、老人といえば多助一人になったし、その多助もぼけてしまったが、高田屋との約束は、みんなが知っていた。

「ところが、急にそれが変ったんです」

その年の五月、高田屋では与七が死に、一人息子の松次郎が跡を継いだ。彼は二十三歳であるが、去年の秋に嫁を取り、男の子が一人できていた。

「先月、いや十月の月ずえにその松次郎が来て、長屋をあけろと云いだしました」角三は続けた、「ならず者みたような男を三人伴れて来て、この長屋は取毀すことになったから、二十一軒ぜんぶ出ていけって云うんです」

「約束を知らなかったのか」