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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
07 おくめ殺し
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,548 字 · 47 页
五
五
伊蔵と若者が去ると、長屋の人たちがみまいに来た。火種を持って来た女房もい、おたねが茶の支度にかかった。去定は登をそこに残し、差配の家を訊いて立ちあがった。
「角三は眠らせなければいけない」と去定は出てゆきながら云った、「みまいが済んだらなるべく早く帰ってくれ」
去定にそう云われたのでみまいの人たちもまもなく帰っていった。
「威勢のいい先生ですね」と角三が枕の上で微笑した、「とてもお医者とは思えねえ、あっしはいまにべらんめえが出やあしねえかと思ってましたよ」
「やりかねないね」と登も苦笑した、「いざとなればやくざ者の三人や五人」
登はそこで口をつぐんだ。本郷みくみ町の出来事を話そうとし、危ないところで思いとまったのであった。
「あんた」とおたねが脇から云った、「ついさっき刷毛屋の源さんが追い出されたのよ」
「源さんが、どうしたって」
「吉三郎さんのときと同じよ」とおたねが云った、「へんな人足みたような男が三人来て、こんどおれたちがこのうちを借りたんだって、源さんたちを追い出し、家財道具も抛りだしてしまったの、いまその三人はいすわって酒を飲んでるわ」
「源さんはどうした」