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ろじょう

路上

芥川 竜之介

午炮响后,图书馆陷入诡异的寂静,大学生俊助埋头书海,时间随着指针流逝,但这份平静下似乎藏着什么在悄悄酝酿。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,539 字 · 87 页

青空文庫

が、俊助はその音を聞くと共に、日頃彼の軽蔑する感傷主義が、彼自身をもすんでの事に捕えようとしていたのを意識した。この意識は勿論彼にとって、危険の意識には相違なかった。けれども彼の心には、その危険を免れたと云う、満足らしいものはさらになかった。

しばらくして初子が新田と一しょに、応接室へ姿を現した時、俊助はいつもより快活に、

「どうでした。初子さん。モデルになるような患者が見つかりましたか。」と声をかけた。

「ええ、御蔭様で。」

初子は新田と俊助とに、等分の愛嬌をふり撒きながら、

「ほんとうに私ためになりましたわ。辰子さんもいらっしゃれば好いのに。そりゃ可哀そうな人がいてよ。いつでも、御腹に子供がいると思っているんですって。たった一人、隅の方へ坐って、子守唄ばかり歌っているの。」

二十九

初子が辰子と話している間に、新田はちょいと俊助の肩を叩くと、

「おい、君に一つ見せてやる物がある。」と云って、それから女たちの方へ向きながら、

「あなた方はここで、しばらく御休みになって下さい。今、御茶でも差上げますから。」

俊助は新田の云う通り、おとなしくその後について、明るい応接室からうす暗い廊下へ出ると、今度はさっきと反対の方向にある、広い畳敷の病室へつれて行かれた。