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じてん

辞典

戸坂 潤

「経済学大辞典 第四巻」岩波書店、1931(昭和6)年10月、「経済学大辞典 第五巻」岩波書店、1932(昭和7)年1月、「経済学大辞典 追補」岩波書店、1936(昭和11)年10月、「教育学辞典 第一巻」岩波書店、1936(昭和11)年5月、「教育学辞典 第二巻」岩波書店、1937(昭和12)年2月、「現代哲学辞典」日本評論社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,131 字 · 186 页

青空文庫

(有機体は単なる有機物ではない。)有機体と無機物とを区別するものは生命現象のある無しである。原生動物を無機物から人工的に造り出すことは現在すでに不可能ではないが、之は一種の原始的な生命現象を生じるような無機体の高度の結合を発見出来たというまでであって、生命現象が無機界現象に還元されたことを意味するものではない。生命現象はその生物学的解釈、即ち機械論又は活力説による解釈の当否に拘らず、生命現象であって、之と無機現象との区別がこの解釈の如何によって消滅するのではない。少くとも生命現象と無機現象との間には根本的な区別があるのであって、生命現象の一つの特徴である有目的的に見える行動的運動現象が、仮に単に極めて高度に複雑な原因に基く機械的運動に他ならぬとしても、この高度の複雑さそのものが、生命現象を他の無機現象から区別する本質的な契機なのである。

さてこの無機界の自然を対象とするものが物理学である。尤も常識的に云えば化学現象と物理現象というように、物理学は化学から区別されているが、夫は全く常識的な便宜に基くことで、化学プロパーの発達は実は、物理学を具体化することによってみずから本来の物理学に帰着しつつあるのが周知の事実である。