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とうめいねこ

透明猫

海野 十三

「少年読物」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,223 字 · 21 页

青空文庫

そういわれても、青二は本気にしなかった。

「お母さんは、あんなことをいっているよ。お母さんの目の方が、今日はどうかしているんでしょう。目がかすんでいるんじゃない」

「あら、そうかしら。もっとも、もう春になりかけているんだから、のぼせるかもしれないからね」

その話は、そのままになった。青二の母親は、朝の用事をまだたくさんもっていたから。青二は二階へあがった。

机の上に、小さい座ぶとんがのせてある。その座ぶとんの上を見るとまん中がひっこんでいた。そして、ゴムのテープと、赤青のまだらの紐が結ばれたままあった。その座ぶとんの上に、例のあやしい動物がねていることはたしかだった。

だが、ふしぎなことに、二つの目玉は、どこにも見えなかった。

「あの目玉はどこへ行ったんだろう」

青二は、そばへいって、手さぐりで動物をなでてみた。猫の頭にちがいないものが、たしかに手にさわった。

しかし目玉は見えなかった。もしや目玉がなくなったのかと思って、青二は片手で動物の頭をおさえ、もう一方の手で目玉をさぐってみた。すると、

「ふうっ」と、動物はあらあらしい声をたてて、座ぶとんからはねあがった。