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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

丘浅次郎『進化と人生(上)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:人類の生存競争、教育と迷信、誤解せられたる生物学、人道の正体、生物学的の見方、生物学より見たる教育、戦争と平和、動物界における善と悪、脳髄の進化、民族の発展と理科、理想的団体生活。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 页

青空文庫

。たとえば味噌を摺るためには摺子木は棒の形を有することが必要であるが、棒の形を有しておる以上は、これを一種の棒として犬の頭を打つために用いることもできる。また風を起こすためには団扇は扁平でなければならぬが、扁平である以上はこれを一種の薄板として蠅をたたくために用いることができる。人間の大脳もこれと同様で、生存競争上、容易に敵に負けぬだけの策略を考え、また容易に同僚にだまされぬだけに用心をなし得る程度までに思考力が発達してきたのであるが、いったんこの程度までに思考し得るだけの仕掛けが大脳内にできあがった以上は、これを日常の生活以外の方面に向こうて用いることができる。従来の哲学とか宗教とかいうものは主としてかかる性質のもので、思考力をその本来の目的なる生存競争より以外の方面に用いておるのであるから、あたかも摺子木で犬を打ち、団扇で蠅をたたいておるごとき関係のものであろう。この心得をもって、従来の哲学や宗教をとりあつかえば、決して迷い込むにいたらずしてしかも十分にその実際を研究することができようかと思う。

前に述べたとおり、われわれ人間は古い昔に脊椎動物の共同の先祖より起こり、魚類、蛙、鰐、鶏、兎、犬、猿等のごとき大脳を備えた時代を通り越し、知力もこれと同じ順序に進みきたって、ついに今日のごとき最も発達した大脳