轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みちづれ

道連

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,366 字 · 37 页

青空文庫

そのうちに遠くから、ごーっと堰の水音が聞えてきた。初めは何の音だか分らなかったが、近づくにつれて愈々それだとはっきりすると、変に僕はぞーと寒気を感じた。独りでに足が重くなって早く歩けなかった、がらがらがらがら、すぐ後に空車の音がやってくる。

堰の近くになった時、其処は田圃より少し小高い道になっていたが、ふいに空車の音が止んだ。はてな、と思って振向くと、男は片手で車の柄を支え、片手で着物の前をめくって、提灯のかすかな光にも白くはっきりと分るほどに、勢よくしゃあーと飛していた。僕は一寸呆気にとられたが、自分でも何だか用を足したくなって、道端から側の低い田圃の方へ、同じく勢よくやっつけてやった。

用を足してしまって、不思議にもその男へ一寸親しみを持ちかけて、心持ちに足を止めてると、男は頬骨の張った赤黒い顔に――僕はその時初めて彼の顔を見たのであるが――人なつっこい和らぎを浮べて、がらがらと足早に追っついてきた。

「見馴れねえ人だと思って用心していただが、わしの考え違えだった。」

いきなりそう云いかけて、わけを話してくれた。――そこの堰で、身を投げるか落ちこむかして死んだ若い旅人があった。