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いこん
遺恨
「娯楽世界 第二巻第五号」銀五書房、1948(昭和23)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,706 字 · 22 页
先生はふと、アキ子が、そんなふうだといゝがと考えたからだ。
先生はパンパンと遊ぶなどゝいうことは、考えられないタチであった。助平でないわけではなく、インフレ景気に対しては無能力だと思っており、インフレの特産物と自分とを並べて眺めるだけの気持のユトリがなかったからだ。
裏口営業も知らないのである。裏口でたった一杯のカストリも知らず、ピースを買ったこともない。最下級のインフレ景気にもツキアイのない自分だから、パンパンなどは雲上人で、とても拝謁の望みはない。
けれども先生はムホンを起した。やっぱり大学生になめられているのが口惜しかったせいだろう。けれども、パンパンなどは思いもよらず、いつも街頭で見かけている只今営業中という札のかゝった戸口をくゞってみたい、という、精一パイの希いであった。
そして、覚悟をかためて、でかけた。なみなみならぬ覚悟であった筈である。そして、その結果は、すでに述べた通りであった。
★
その日、中華料理店をでゝ、家へ戻ると、先生はカゼをひいて、ねついてしまった。高熱であった。
熱がたかまると、先生は口走った。
「パンパンを、なぐらせろ、パンパンを、なぐらせろ。