轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とかいのゆうき
都会の幽気
豊島 与志雄
「サンデー毎日」1924(大正13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,559 字 · 21 页
私は薄ら寒いおののきを身内に感じながら、何処へ行こうかと思い惑った。
こんな時には、酒でも飲んで気を紛らすのが一番よかった。然しそれには時間も早かったし、また恐ろしい記憶が頭に蘇ってきた。彼奴らにつけられ初めてから或る晩、私は虚勢を張るために深酒をのんで、一二度行ったことのある円窓の家へ、ひょっこりはいっていった。そして見知らぬ女と寝ていると、嘗ていろんな男がこの女を相手にしたろうことが、右や左に影絵のように浮き出してきて、私はぞっと震え上り、いきなり女の喉首をしめつけたい衝動に駆られ、それに気がつくと更に恐ろしくなって、夜中の二時半頃其処を逃げ出したことがあった。とても再びそんな所へ行く気にはなれなかった。それかといって、撞球場や碁会所や友人の家などへ行ったところで、どうせ僅かな時間を費すだけで、夜にでもなったら、一体何処へ行って身を休めたらいいのか?……私は何処かへ行くことも家へ戻ることも出来なかった。
おう、何という大きな都会だろう! 何という無数の人間だろう! 空は低く垂れ、空気は塵芥に濁り、むっとするほどの人いきれが立罩め、その中を人々は平気な顔をして、あちらこちらに蠢めいているけれども、この息若しい濛気の中に、昔から今まで至る場所で至る瞬間に為された、何かの一念に凝った人の姿が、数限りもなく