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きんごじゅうりょう

金五十両

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1947(昭和22)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,843 字 · 23 页

青空文庫

清吉の仕事のお先棒を担ぎながら一年、お預けをくった犬のように、よしという声のかかるのを待っていた。

然しやがて少しずつ事実がはっきりし始めた、清吉がふっと姿をみせなくなり、続いて馬喰町の店の代が変った。

……彼は清吉の消息をしるために狂奔した、そしてなにがわかったろう、清吉はおたまと夫婦になって、新しく出店を開くために上方へ去ったという、おたまは十五六のじぶんからおとこ出入が多く、店の者だけでも五人より少なくなかった。親も親類ももて余していたのを清吉が承知のうえで貰い、その代償として出店を出して貰ったということだった。

「清吉という男はまえから売上をごまかしたり、蔵の品を持出して売ったりする悪い癖があった、然し商売がうまいので主人も番頭もみのがしていたんだそうだ、おたまを任せたのも清吉なら手綱をとれるとみたからさ。

……おれは躯じゅうの皮を剥がれて、荒塩を擦り込まれたような気持になった、世間がどんなからくりで出来ているか、人間にはなにが大事か、色んなことが見えだしてきた、亡くなった伯父さんがいつも泥亀のように酔っていた気持が、はじめておれにはわかったんだ」