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きんぞくにんげん

金属人間

海野 十三

「サイエンス」1947(昭和22)年12月~1949(昭和24)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 78,616 字 · 157 页

青空文庫

「それは何ですか」

と、蜂矢はたずねた。

「この中に、金属Qの本体がはいっているんだ。はやいとこ、これを焼き捨てる必要がある。そうでないと、金属Qはまた生きかえってくる。生きかえられたんでは、また大さわぎになる」

博士は、大きな硬質ガラス製のビーカーの中に、そのぐにゃりとしたうす桃色のものを入れた。それからガスのバーナーに火をつけ、その上に架台をおき、架台の上に今のビーカーを置いた。

それから博士は、薬品戸棚のところへ行った。

博士が、棚から薬品のはいった瓶を三つも抱えてもどってくるまでの少しの時間に、蜂矢は部屋の隅にたおれている人のようすを知るために、その方へ目を走らせた。その人は、もちろんしずかに伸びていた。そしてその頭部が開かれ、頭骸骨がお碗のようになって、中身が空虚なことをしめしていた。

怪金属Qがやどっていた肉体は、ふたたびもとの死体に帰ったのである。

ぱっと茶褐色の煙があがった。れいのビーカーの中である。博士が、液体薬品のはいった瓶の口をひらいて、ビーカーの中へそそぎこむたびに、茶褐色の煙が大げさにたちのぼるのだった。金属Qがはいっているという脳髄は、ビーカーの中で、沸々と沸騰する茶褐色の薬液の中で煮られてまっくろに化していく。