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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
07 怪談抜地獄
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,998 字 · 32 页
「さあ、ものの二分とはかかりますまい。」
「ふふん。」と藤吉は小鼻を寄せて、
「伝二郎さん、敵討ちなら早えがよかろ。今夜のうちに縛引いて見せる。親船に乗った気で、まあ、だんまりで尾いてくるがいいのさ。」
御台場から帰ったばかりの勘弁勘次を、万一の場合の要心棒に拾い上げて、伝二郎を連れた藤吉は、みちみち勘次にも事件を吹き込み、宿場端れの泡盛屋で呑めない地酒に時間を消し、すっかり暗くなってから、品川の廓街へべつべつの素見客のような顔をして銜え楊枝で流れ込んで行った。
「喜三ほどの仕事師だ。あぶく銭を取ったって、人眼につき易い大場所の遊びはしめえと、そこを踏んで此里へ出張ったのが俺の白眼みよ。それが外れりゃあ、こちとら明日から十手を返上して海老床へ梳手に弟子入りだ。勘、その気でぬかるな。」
「合点承知之助――だが、親分、野郎にゃ小指がついてたってえじゃごせんか。してみりゃあ何もお女郎買えでもありますめえぜ。」
「引っこ抜きと井戸の鬼火か、へん、衣裳を付けりゃあ、われだって髱だあな。それより、御両所、切れ物にお気をつけ召されい――とね、はっはっは、俺の玄内はどんなもんでえ。