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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 页

青空文庫

「さアさアどうぞ」

お神さんのお夏は勝誇った心持で、平次の前へ衣紋を直しました。

帯にも、襟にも、裾にも、何にもありません。帯留にも財布にも――。

「裸体になりましょうか、親分さん」

お夏は悪たれた年増らしくニタリとしました。事件の口火は自分がつけましたが、亭主を縛った平次が憎くて憎くてたまらなかったのです。

「いや、それには及ばない」

平次はそう言いながら、お夏の丸髷から、擬い物の鼈甲に、これも怪しい銀の帯をした笄を取って、スッと抜きました。

「おや?」

少し緩いので、足に巻いた反古紙、方三寸ほどのを皺を伸して見ると、桝形の図を引いて、外囲、内囲から、深さの寸法まで、書き込んであるのです。

「八合判だ」

「何?」

笹野新三郎も愕然としました。それは不正な米屋が、量を誤魔化すために使った、寸縮りの桝の寸法を書いたものだったのです。

量目桝目の不正は、今も昔もやかましい問題ですが、江戸時代はことにこの種の不正商人を憎んで、藩によっては、八合判の桝を使った商人は、米屋でも、酒屋でも、必ず磔刑の極刑に処せられたことさえあります。

江戸の商人には、そんなのは滅多にありませんが、たまたま発見されると、これも重罪を以て処せられ、主人や番頭の命は勿論、家財までも闕所にされた例は沢山あるのでした。