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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 页
六
神田へ帰ったら、平次へよくそう言ってくれ、人の縄張を荒す心算ならもう少しイキの良いのをつれて、平次が自分で来るがいい――ってな」
「…………」
八五郎は黙ってこの悪罵を受けました。三輪の万七とは、あまりに貫禄が違い過ぎてもいたのです。
六
「親分、こんなに口惜しいことはありません。道理はこっちにあっても、貫禄の違いがあるから、その上押して口が利けねえ。癪にさわって、癪にさわってたまらねえから、綾吉の長屋を始め、恵大寺の界隈を夜っぴて捜し廻りましたよ」
ガラッ八は本当に口惜しそうでした。神田の平次の宅を叩き起すと、まだ明け切らぬうちから、こんな騒ぎをおっぱじめます。
「うるさいな、手前は口惜しかろうが、俺はまだ眠いよ」
「それどころじゃないよ。親分、起きて一と目これを見ておくんなさい。下手人は判らねえが、夜っぴて墓場を捜し廻って、幽霊の正体だけは掴んだ積りだ」
「何? 幽霊の正体が解った、――幽霊が解りさえすれば、下手人はすぐわかるはずじゃないか」
ガラッ八の獲物を重大と見たか、職業意識が働くと、平次はガバとはね起きました。
二三枚雨戸を繰ると、金泥を撒いたような初夏の朝の光が、さッと部屋の中まで流れて入るのでした。