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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 页

青空文庫

二

間もなく、久助と源吉が帰り、儀八と新兵衛も母屋に引取り、隠居所は、喜平と平次のたった二人になりました。

二

「お話というのは、ご隠居」

平次は静かに顔を挙げました。

「他じゃないが、親分、婿の儀八のことなんですが」

そこまで話すと、誰やら行灯に灯を入れて、縁側へ持って来ました。

「そこへ置いて行くがいい。私は自分で入れるから」

「…………」

黙って人影は去ります。誰だったか判りません。

「ね、親分さん。――婿の儀八の身持が、近頃どうも面白くないのですよ。なアに、少々遊ぶぐらいは構やしません。一家の主人で付合もあることだから、それをやかましく言う私じゃないが、勝負事をするのは我慢がならない」

「…………」

「他の事と違って、商人が博奕を打つようじゃ末の望みがない。今のうちに離縁をしようと思うが、困ったことに証拠というものは一つもない。儀八の兄の源吉は、あの通り一本調子の正直者だし、私の娘のお吉も、夫の儀八を信用しているから、証拠のないことを言ったんじゃ、私の負だ」

喜平の言うのは、全く重大でした。浜田屋の身代は、どれほどあったか解りませんが、町内でも指折りの丸持ちで、神田では分限の一人にも数えられていたのです。