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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控(二)八人芸の女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 144,562 字 · 291 页
金蔵の思い出はそれからそれと涯もありません。
「先代の旦那が行方知れずになった時、この井戸は見なかったのかい」
と平次。
「一応は覗きましたが、半分埋まった井戸の底を掘る気にはなりませんでした。何しろ、品川の海から、旦那の脇差の鞘だの、腰下だの、下駄だの、いろいろな物が見付かったので――」
「品川の海から身についた品物が上がったのに、七年経ってから、屋敷内の井戸から死骸が出たのは可怪しいじゃないか」
「ヘエ――」
平次の鋭い疑問も、老番頭には何の意味もない言葉でした。
「旦那。どんなものでしょう」
平次はさり気ない顔で由兵衛を見上げました。
「私には何にも解りません」
先刻まで、井戸を掘るのを、あんなに面白がって眺めていた由兵衛の顔は、鉛のように真っ青です。
「先代が行方知れずになった頃、旦那はどこに居ました」
「ここに居ましたよ」
平次はそれっきり口を緘みました。先代徳五郎の身代を継いだ上、その美しい後家と一年後には一緒になった由兵衛は、罠の中に陥込んだ獣のように、あがきようのない、恐ろしい境遇に置かれたことを自覚しないわけには行きません。
川崎へ行ったきり帰らずに、品川の海で死んだことになっていればこそ、その日一日店から動かない由兵衛には、何の疑いも掛らなかったのですが、先代徳五郎が、金沢町の自分の家の、庭で殺さ