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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
野村胡堂『銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡』。同一底本的分册已合并为一书。收入:銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、銭形平次捕物控、随筆銭形平次。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 页
三
小峰右内は以ての外の顔をして見せます。
「その嬢様は、どこに居なさるんで?」
「逢わせましょう。が、その前に、ちょっと訊いておきたいが――」
と小峰右内。
「ヘエ、――どんな事で」
「これが表沙汰になると、お家の瑕瑾になる。奉公人の一人や二人死んだのは、急病の届出ですむが、お嬢様が変ったとなると、これはうるさい、――万事呑込んでくれるであろうな」
「それはもう、御用人様。あっしは町方の御用聞で、御武家屋敷のことには、立入る筋じゃございません。御老中、御目付などの御歴々と、あっしの仕事とは、何の関係もないのでございます」
「よしよし、そう判ってくれると大変ありがたい」
「たいそうお困りの様子ですから、お嬢様を捜し出してあげた上、町人や奉公人に悪いのがあったら、それは容赦をいたしません」
「じゃこう来てくれ」
右内は二人を案内して、また幾間か先へ暗い廊下を進みました。
「ここだ」
小峰右内の開けた唐紙の中を見て、二人は顔を見合せました。婆やの死骸とは比べものにならない、そこには刺戟的なものがあったのです。
三
それは、八五郎が口を極めて讃美した、替え玉の娘でした。いよいよ一と責めする気になったものか、燃え立つような赤い扱帯でキリキリと縛り上げ、嫁入道具のおびただしく取散らした中、箪笥の引手にそれを結えてあったのです。