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さっかくすうだい
錯覚数題
寺田 寅彦
「中央公論」1933(昭和8)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,152 字 · 18 页
というもののある事をも知った。ともかくこれで製造法のまねぐらいはできるようになった。自分の最初の捜し方が拙であったことはたしかであるが、それにしても、本屋に並んでいる書物が「類型的」であり「非独創的」であり、「懸崖作りのつるばら」のようなものであるという例証にはなるかと思う。もう少し専門学術的な書物になると、特にドイツなどには実にいろいろの特殊問題に対して、それぞれ便利な書物ができているのに驚くことがある。それにしても、題目の種類によっては、少なくも日本の本屋で捜そうとするとなかなか容易に見つからぬこともしばしばである。
以前に「鳥類の嗅覚」に関する詳しい記事のありそうな本を捜していた時に、某書店の店員が親切にカタログをあさってともかくも役に立ちそうな五六種の書名を見つけてくれて、「海外注文」を出してもらったが、一年以上たってもただ一冊手に入っただけで、残りのものは梨のつぶてである。
このごろでは「夜光虫ノクチルカ」その他の発光動物に関するものを捜しているが、まとまった手ごろな本はまだ見つからない。おかしいことには自身の捜さないのではずいぶん特殊な狭い題目の本が有り過ぎるほどあるような気がするのである。