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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

宗助はできるだけ手を回して、事の真疑を探った。そうして、或る関係から、安井がたしかに奉天にいる事を確め得た。同時に彼の健康で、活溌で、多忙である事も確め得た。その時夫婦は顔を見合せて、ほっという息を吐いた。

「まあよかろう」と宗助が云った。

「病気よりはね」と御米が云った。

二人はそれから以後安井の名を口にするのを避けた。考え出す事さえもあえてしなかった。彼らは安井を半途で退学させ、郷里へ帰らせ、病気に罹らせ、もしくは満洲へ駆りやった罪に対して、いかに悔恨の苦しみを重ねても、どうする事もできない地位に立っていたからである。

「御米、御前信仰の心が起った事があるかい」と或時宗助が御米に聞いた。御米は、ただ、

「あるわ」と答えただけで、すぐ「あなたは」と聞き返した。

宗助は薄笑いをしたぎり、何とも答えなかった。その代り推して、御米の信仰について、詳しい質問も掛けなかった。御米には、それが仕合せかも知れなかった。彼女はその方面に、これというほど判然した凝り整った何物も有っていなかったからである。二人はとかくして会堂の腰掛にも倚らず、寺院の門も潜らずに過ぎた。そうしてただ自然の恵から来る月日と云う緩和剤の力だけで、ようやく落ちついた。