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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

宗助はあとを略して中へ入った。

室の中はただ薄暗い灯に照らされていた。その弱い光は、いかに大字な書物をも披見せしめぬ程度のものであった。宗助は今日までの経験に訴えて、これくらい微かな灯火に、夜を営なむ人間を憶い起す事ができなかった。その光は無論月よりも強かった。かつ月のごとく蒼白い色ではなかった。けれどももう少しで朦朧の境に沈むべき性質のものであった。

この静かな判然しない灯火の力で、宗助は自分を去る四五尺の正面に、宜道のいわゆる老師なるものを認めた。彼の顔は例によって鋳物のように動かなかった。色は銅であった。彼は全身に渋に似た柿に似た茶に似た色の法衣を纏っていた。足も手も見えなかった。ただ頸から上が見えた。その頸から上が、厳粛と緊張の極度に安んじて、いつまで経っても変る恐を有せざるごとくに人を魅した。そうして頭には一本の毛もなかった。

この面前に気力なく坐った宗助の、口にした言葉はただ一句で尽きた。

「もっと、ぎろりとしたところを持って来なければ駄目だ」とたちまち云われた。「そのくらいな事は少し学問をしたものなら誰でも云える」

宗助は喪家の犬のごとく室中を退いた。