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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

と例の通りまず自分から手を出した。

「これはね、昨日ある人の銀婚式に呼ばれて、貰って来たのだから、すこぶるおめでたいのです。あなたも一切ぐらい肖ってもいいでしょう」

主人は肖りたい名の下に、甘垂るい金玉糖を幾切か頬張った。これは酒も呑み、茶も呑み、飯も菓子も食えるようにできた、重宝で健康な男であった。

「何実を云うと、二十年も三十年も夫婦が皺だらけになって生きていたって、別におめでたくもありませんが、そこが物は比較的なところでね。私はいつか清水谷の公園の前を通って驚ろいた事がある」と変な方面へ話を持って行った。こういう風に、それからそれへと客を飽かせないように引張って行くのが、社交になれた主人の平生の調子であった。

彼の云うところによると、清水谷から弁慶橋へ通じる泥溝のような細い流の中に、春先になると無数の蛙が生れるのだそうである。その蛙が押し合い鳴き合って生長するうちに、幾百組か幾千組の恋が泥渠の中で成立する。そうしてそれらの愛に生きるものが重ならないばかりに隙間なく清水谷から弁慶橋へ続いて、互に睦まじく浮いていると、通り掛りの小僧だの閑人が、石を打ちつけて、無残にも蛙の夫婦を殺して行くものだから、その数がほとんど勘定し切れないほど多くなるのだそうである。