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もん

門

夏目 漱石

宗助在秋日午后躺着发呆,和妻子有一搭没一搭聊天,平淡的日子下好像藏着说不出口的秘密。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 页

青空文庫

御米はすぐその手紙を拾ったが、別に読もうともしなかった。それを膝の上へ乗せたまま、夫の顔を見て、

「遠からぬうちには帰京仕るべく候間、どうだって云うの」と聞いた。

「いずれ帰ったら、安之助と相談して何とか御挨拶を致しますと云うのさ」

「遠からぬうちじゃ曖昧ね。いつ帰るとも書いてなくって」

「いいや」

御米は念のため、膝の上の手紙を始めて開いて見た。そうしてそれを元のように畳んで、

「ちょっとその状袋を」と手を夫の方へ出した。宗助は自分と火鉢の間に挟まっている青い封筒を取って細君に渡した。御米はそれをふっと吹いて、中を膨らまして手紙を収めた。そうして台所へ立った。

宗助はそれぎり手紙の事には気を留めなかった。今日役所で同僚が、この間英吉利から来遊したキチナー元帥に、新橋の傍で逢ったと云う話を思い出して、ああ云う人間になると、世界中どこへ行っても、世間を騒がせるようにできているようだが、実際そういう風に生れついて来たものかも知れない。自分の過去から引き摺ってきた運命や、またその続きとして、これから自分の眼前に展開されべき将来を取って、キチナーと云う人のそれに比べて見ると、とうてい同じ人間とは思えないぐらい懸け隔たっている。