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かいかのおっと

開化の良人

芥川 竜之介

在明治初期的文明展上,偶遇一位神秘子爵,他对一幅铜版画的解读,藏着时代的秘密和个人的故事。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,438 字 · 32 页

青空文庫

三浦は子供のような喜ばしさで、彼の日常生活の細目を根気よく書いてよこしました。今年は朝顔の培養に失敗した事、上野の養育院の寄附を依頼された事、入梅で書物が大半黴びてしまった事、抱えの車夫が破傷風になった事、都座の西洋手品を見に行った事、蔵前に火事があった事――一々数え立てていたのでは、とても際限がありませんが、中でも一番嬉しそうだったのは、彼が五姓田芳梅画伯に依頼して、細君の肖像画を描いて貰ったと云う一条です。その肖像画は彼が例のナポレオン一世の代りに、書斎の壁へ懸けて置きましたから、私も後に見ましたが、何でも束髪に結った勝美婦人が毛金の繍のある黒の模様で、薔薇の花束を手にしながら、姿見の前に立っている所を、横顔に描いたものでした。が、それは見る事が出来ても、当時の快活な三浦自身は、とうとう永久に見る事が出来なかったのです。……」

本多子爵はこう云って、かすかな吐息を洩しながら、しばらくの間口を噤んだ。じっとその話に聞き入っていた私は、子爵が韓国京城から帰った時、万一三浦はもう物故していたのではないかと思って、我知らず不安の眼を相手の顔に注がずにはいられなかった。