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かいかのおっと
開化の良人
在明治初期的文明展上,偶遇一位神秘子爵,他对一幅铜版画的解读,藏着时代的秘密和个人的故事。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,438 字 · 32 页
「殊に私などはこう云う版画を眺めていると、三四十年前のあの時代が、まだ昨日のような心もちがして、今でも新聞をひろげて見たら、鹿鳴館の舞踏会の記事が出ていそうな気がするのです。実を云うとさっきこの陳列室へはいった時から、もう私はあの時代の人間がみんなまた生き返って、我々の眼にこそ見えないが、そこにもここにも歩いている。――そうしてその幽霊が時々我々の耳へ口をつけて、そっと昔の話を囁いてくれる。――そんな怪しげな考えがどうしても念頭を離れないのです。殊に今の洋服を着た菊五郎などは、余りよく私の友だちに似ているので、あの似顔絵の前に立った時は、ほとんど久闊を叙したいくらい、半ば気味の悪い懐しささえ感じました。どうです。御嫌でなかったら、その友だちの話でも聞いて頂くとしましょうか。」
本多子爵はわざと眼を外らせながら、私の気をかねるように、落着かない調子でこう云った。私は先達子爵と会った時に、紹介の労を執った私の友人が、「この男は小説家ですから、何か面白い話があった時には、聞かせてやって下さい。」と頼んだのを思い出した。また、それがないにしても、その時にはもう私も、いつか子爵の懐古的な詠歎に釣りこまれて、出来るなら今にも子爵と二人で、過去の霧の中に隠れている「一等煉瓦」