轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かっか

閣下

佐々木 邦

「面白倶楽部」1925(大正14)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,494 字 · 16 页

青空文庫

と閣下は左の手先を鍵形にして、所謂油を注込む真似をした。

「しかし私は常客で珍客じゃありませんから……」

「いや、実はもう珍客と極めてあるんです。今更お帰りになるようだと我輩は家内を瞞したことになる」

「それではお言葉に甘えますかな」

と私は退っ引きならず御馳走になった。閣下は大いに召上った。

それから一週間ばかりすると閣下は又私を帰すまいとした。私は然う度々珍客になっては済まないから、振り切るように立ち上ったが、閣下は追って来て、

「小林さん、あなたは我輩を侮辱する積りですか?」

と囁いた。

「いゝえ」

「あなたに帰られると我輩は家内に顔が立たない。如何にも飲みたくて謀ったように取られます」

「それじゃ御馳走になりましょう」

と私は降参した。腕を捉まえられているから仕方ない。

或時私は隣りの水谷さんにこのことを話して、

「理性の人も甚だ怪しいものですよ」

と言った。すると、水谷さんは、

「実は閣下には私も弱らせられました。この間夕刻一寸お寄りしたら、昨日は珍客を逸したから今日は君を遁さんぞと仰有って放しません。無理に帰ろうとすると、『こら、貴様、我輩の命令に背くか!』