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とうそう
闘争
小酒井 不木
「新青年」1929(昭和4)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,079 字 · 38 页
「之がその解決だよ」と言って渡された。見ると其処には、
PMbtDK
と書かれてあった。
「君、甚だ御苦労をかけるが、それを都下のおもだった新聞に、あまり目立たないように広告してくれたまえ」
僕は面喰った。
「これは暗号で御座いますか」
「理由は君が帰ってから話す」
僕はそのまゝ黙って引きさがり、それから各新聞社をまわって広告を依頼し、教室へ帰ったのは午後一時ごろだった。道々僕は、先生の渡された暗号――無論僕ははじめそれを暗号だと思った――を、色々に考えて解こうとしたが、まるで雲をつかむようだった。又、何のために、先生が新聞などへ広告を出されるのか、そうして、これが一たい北沢事件と、どう関係があるのか、ちっともわからなかった。だから、教室へ帰ったときは、早く先生から説明がきゝたくて、僕はいわば好奇心そのものであった。
教授室に入ると、先生は立ち上って、入口の方へ歩いて行き、扉の鍵孔に鍵を差しこんでまわされた。
「あまり大きな声で話してはならぬのだよ」こう言って再び机の前えに腰をおろし、「さて涌井君、君はニーチェを読んだことがあるか」と、だしぬけに質問された。