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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

」

音枝が小ばちにあけた福神づけを、サジでしゃくいながら冬太郎は浮かぬ顔をしていた。そして食事がすむと、文吉が立ってゆくのをまってでもいたように、ひとり言をいった。

――ぜったいに詐欺になんか見えなかったけどなあ――

安江はすぐそれをうけて、

「みえるもんかよお前、だれが、わたしは詐欺漢でござんす――と一目でわかるような態度をするかね。疲労困ぱいしたような悲しげな様子で、うったえるのさ。そうだろう?」

「ううん。その人は、もしもし、ちょっとおたずねしますって、道聞いたんだ。世田谷へゆく道をね。だからぼく、つい、ここから歩いていくんですかっていったんだよ。大変だと思ったからさ。」

「手だよ。筋書き通りのね。そして、旅費がだめなら、世田谷までの電車賃をっていったろう。」

「いったけど、ぼくはあの人を信じるな。金もってたら旅費をかしてやったと思う。」

「やれやれ、わが家の男性は、そろいもそろってお人よしだね。夏樹をしかれやしないよ、まったく。」

「じゃあ、どうしておかあさんは、その人を見もしないで詐欺ときめるんですか。」

憤然としてつめよる冬太郎へ、

「じゃあ、どうして冬太郎は、そうでないときめるの。