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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

しかしこんなのはまだよい方で、お札売りときた日には堂々と玄関のベルを押してやってくる。大事なお客さまかと思って戸をあけると、ひげもくじゃらの男が四人もずらりとならんでいて、中のひとりがおごそかな声で大神宮のお札だという。音枝はだまってひっこんで、いわれた通り百円をもってゆき、無言のうちに一枚の紙ぎれと交換する。それはまるで何かにあやつられてでもいるようにふらふらと運んでしまう。それだけに割りきれなさがいつまでも残り、つい愚痴になってしまう。その音枝の愚痴を聞いた浜子は、

「おねえさんて案外小心ね。わたしなら、かんたんにおっぱらうわ。」

「そんなこといったって、そう口でいうほどかんたんにはいかないわよ。おっかない顔してにらむわよ。」

「平気さ、にらみかえしてやればいい。」

「じゃこれから、浜ちゃんがいる時は、押売りがかりになってもらうわ。まずきょうたのむわね。」

「いいわよ。お茶の子さいさい。」

お天気のよい午後だった。お休みの浜子にすっかり玄関をまかせて、音枝は張り物にとりかかった。伸子張りである。庭のかき根の端から端へ布をわたして伸子をはっていると、

「ごめんください。