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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
ただでだれにでもくれてやれば、解決は早かろうが、まさかそんなわけにはもちろんゆかぬ。元値で売ろうかと、十本のほうきをかかえてまったく思案にくれていると、都合の悪いことは続くものらしく、突然おせいがもどってきた。あわてている兵六さんとほうきの束をみると、おせいはうさんくさそうに、
「どうしたのさ。こんなにほうきばっかり。」
「お前こそどうしたんだ。ひと月ももどらんというたくせに。」
「だってさ、おとうさん、食うものもなくて困ってるかと思ってさ。亭主ひぼしにするわけにはいかんじゃないの。世間さまに対してさ。」
「世間さまか。おれさまじゃないんだね。ま、おれさまもこれで、自分の口一つぐらいはなんとでもなるがね。」
「わるかったわね。ほうき屋にでもなって、もうけましたか。」
「そうだよ。」
「へえ! よくもとでがありましたね。これもお安さんですか。」
「ちがうよ。実をいうとな、三河屋の隠居なんだよ。売れたとき払いでいいからってね、回してくれたんだ。そいつがまた、案外売れるんだよ。きょうは五百円ほどもうけたよ。」
ここらでちょっと仲なおりに出ると、おせいの方もさすがに顔をほころばして、