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ざっきょかぞく

雑居家族

壺井 栄

「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页

青空文庫

そんなぐあいで、こうした場合としてはうまく運んだとわれながら安江は感心していた。ところが三日たっても、五日すぎても兵六さんは姿を見せない。そしてある日、音枝は斎木少年に聞いたといって報告した。

「おかあさん、鷲のおじさん、部屋の権利金とったんだってよ。」

「ええっ、うちの部屋のかい。」

「そうよ。三千円もとったんだってよ。」

安江はまっかな顔で立ちあがった。斎木少年にただそうと思ったのだ。

「斎木さん、出かけたわ。鷲さんにかけあってくるって。」

「まったく、どういうんだろうね、兵六さんて人は。――だけど、おとうさんには権利金のこと、解決するまでだまってようね。ややこしくなるからさ。おとうさんたら、まるでわたしがひとり決めで引受けでもしたようにいうんだもの。そうだろ、あの時もしもわたしが留守でおとうさんが応対したとしても、やっぱり同じ結果になってるわよ。これというのも、音枝がこないだ甘い顔をしたからだよ。ほんとうにお前、部屋貸すなんてあの時いわなかったね。兵六さんがきたとき、とっちめるのに困るからね。本当のこといっとくれよ。」

「ほんとですよ。いやだわ、そんなに信用してもらえないの。