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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,106 字 · 283 页
しかし一応のいいわけをし、頭をさげたあとは、もうけろっとして、人をくったことをいう兵六さんだった。彼はまるで、多少とも引き立ててやった後輩にでもいうような口調で、
「じゃあなにかね、斎木さんはまだ卒業できないんかね。」
それには答えず、苦笑している進君に代って安江は、
「何いってんですか兵六さん。あんたが罪なことをしたからさ。進君、泣いたんですよあのとき。安全だと思って預けた学資を全部あんたに持逃げされてさ。」
「はあ。」
と、手ごたえのない兵六さんに安江はたてつづけて、
「はあじゃないですよ。進君の家でも、あれは、あとが続かないお金だったそうですよ。だからかわいそうに、進君アルバイトばっかりして、人が一年のところを二年がかりなのよ。」
「じゃあ、落第ってことですかい。」
「そうですとも。今更恨むのも時効にかかってるみたいで、進君だってもうあきらめてはいましょうけどさ、あんたに少しでも何とかできるなら、何とかしてあげてくださいよ。」
「そういうわけで……」
安江はそのとぼけた様子をみるとはがゆさとおかしさで、口が軽くなるのを感じながら、
「まったくそういうわけですよ鷲さん。