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ざつぶんてきざつぶん

雑文的雑文

伊丹 万作

「中央公論」1934(昭和9)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,835 字 · 18 页

青空文庫

繁昌するばかりでなく、これがおよそ峻烈苛酷をきわめる。ある批評家がある監督を批評していわくに、この監督のただ一つのとりえは女優某を女房に持つている点だけであるとやつているのを見たことがあるが、批評家が作品をそつちのけにして女房の選択にまで口を出す国は古今東西歴史にあるまい。

女房の選択などはまだ事が小さい。もつと大きな例をあげる。日活という会社は批評家の意見によつてとうとう現代劇部を東京へ移転させてしまつた。

京都などに撮影所があるからいい現代劇ができない。早々東京へ引越すべしというのが批評家の意見なのである。会社の移転の指図までするやつもするやつだが、またそれをまに受けて引越すやつのまぬけさかげんときては話にも何にもならない。いつたい現代劇の撮影所が首府の近くになければならぬという理論がどうすれば成り立つのかそれが第一私などにはわからない。外国の例で見てもニューヨークとハリウッドではほとんどアメリカ大陸の胴の幅だけ離れているはずであるが、アメリカの現代劇はいつこうに悪くない。そんなことはどうでもよいが、とにかく批評家が撮影所を移転せしめた記録はだれが何といつても日本が持つているのだからまことに御同慶のいたりである。