轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
永井荷風『雨瀟瀟・雪解 他七篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:雨瀟瀟、雪解、榎物語、監獄署の裏、散柳窓夕栄、寐顔、ひかげの花、勲章。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,414 字 · 289 页
雨瀟瀟
その年の二百十日はたしか涼しい月夜であった。つづいて二百二十日の厄日もまたそれとは殆ど気もつかぬばかり、いつに変らぬ残暑の西日に蜩の声のみあわただしく夜になった。夜になってからはさすが厄日の申訳らしく降り出す雨の音を聞きつけたもののしかし風は芭蕉も破らず紫苑をも鶏頭をも倒しはしなかった――わたしはその年の日記を繰り開いて見るまでもなく斯く明に記憶しているのは、その夜の雨から時候が打って変ってとても浴衣一枚ではいられぬ肌寒さにわたしはうろたえて襦袢を重ねたのみか、すこし夜も深けかけた頃には袷羽織まで引掛けた事があるからである。彼岸前に羽織を着るなぞとはいかに多病な身にもついぞ覚えたことがないので、立つ秋の俄に肌寒く覚える夕といえば何ともつかずその頃のことを思出すのである。
その頃のことといったとて、いつも単調なわが身の上、別に変った話のあるわけではない。唯その頃までわたしは数年の間さしては心にも留めず成りゆきのまま送って来た孤独の境涯が、つまる処わたしの一生の結末であろう。これから先わたしの身にはもうさして面白いこともない代りまたさして悲しい事も起るまい。